In Blue Skies

とある獣医の青年海外協力隊日記からのイギリス大学院留学

あなたにとって海外とは? 本の感想

 アサインメントも出してしまい、イースターに突入し、どーもやる気が出なくなってしまっています。

 

こういう時は少し本を読むことにしよう。

(ちょっとは〇めしゃちょー風に)

 

ということで、数冊本を読んでいたのだけれど、その中で図書館で偶然見つけたこの本が非常に面白かったので、おすすめしようと思います。

 

お嬢さん放浪記 (中公文庫 M 7-5)

お嬢さん放浪記 (中公文庫 M 7-5)

 

 

犬養道子さんは、自分たちも教科書で習ったかの犬養毅のお孫さんだそうだ。

ガーナ 時代にドミトリーで

 

日本人が外に出るとき

日本人が外に出るとき

 

という本を同期から勧められ読んでみたことをきっかけにその存在を知りました。

 

今回の「お嬢さん放浪記」は戦後すぐに書かれたとは思えないほどウィットに富んだ、

 

「これがインターネットも何もなかったころの時代の話なの?」

 

と思わざるを得ないくらいところどころ「国際社会とは何か」、「国際人とは」を考えさせてくれる良書でした。こういったエッセイ風の著書を止められないのは、学術署や専門書じゃないからこそ、物事の本質をその著者の視点から鋭く描出しているからだと思います。

 

忘備録も兼ねて特に心に残ったセンテンスを描出しておきたいと思います。 

 

実際、十年の旅を通して、私はいつでもこの「友情のパスポート」を誰かから与えられた。法律的なパスポートや査証の困難に出会ったことはあったけれども、友情のパスポートはどこに行っても必ず見つかった。考えてみれば、それによってこそ私は無事に旅をはじめ無事に旅を終えることができたのである。

 

 静かに、淡々と描出するエッセイの章を締めくくるこの文は、もしかしたら今だからこそ、とても温かく、心を満たしてくれる一文なのかもしれません。然るべきときに、然るべきしてこういう殊玉の一文、本に出会えることが止められないから、本というものを読むのは止められないんでしょうね。

 

あなたはアメリカに何年いるつもりか知らないが、とにかくこれからはアメリカを見るのです。その時にいつも一つのことを覚えておいてください。アメリカとアメリカ人は違うということを。(中略)”アメリカ人は”と一口に言い切るような、そんな見方をしないように気を付けてください

 

これなんて、まんま


The Danger of a Single Story | Chimamanda Ngozi Adichie | TED Talks

 

を言っていると思う。(今だから当たり前かもしれないですが、もう一度言いますが、これは昭和30年代前半、60年前に書かれたということです)

 

「アメリカに来てどう思いましたか?」

「豊ですねえ」

「あなたの国は今大変でしょう」

「ええ、それは大変です。問題だらけです。あの国からこのアメリカに来てみると、生活の苦しみというものが、遠いところの、別世界のものみたいな気がします」

「それはあなたが、表面だけをみたからですよ」

 日本は、今まさに、この当時のアメリカのように世界の多くの国からは同じように思われてるかもしれない。

「表面」じゃないことを胸を張って言えるようになっているだろうか。

 

「オランダ人というのは実際的ですからね」

と彼は言った

「公共善のためと思えば、反対の立場にある人を助けます」

何気なく言われたこの言葉に、私は日本の政治の現状を痛いほど反省させられた。「公共善」のため。この考えが徹底どころか、まだ生まれてもいない日本の政治の貧しさを

 60年経ってどうなったんだろうか。本質的なことは変わっているのだろうか。

 

最後のあとがきの彼女の言葉は非常に爽快です。

 

とにかくーーー対立の鋭い、この世界でも、歩いてみれば友達はいくらでも見つかった。まだ行ったことのない土地にも、未知の友は大勢待っているだろう。そう思うとロマンチストの夢は広がって、もう一度放浪に出かけたくなる。

 

 

 

その他、紹介したいところはたくさんありますが、彼女の外国との接し方は60年経った今でも色あせることなく、自分たちが学ばなければいけないことがたくさんあったと思います。

 

おすすめです。