In Blue Skies

とある獣医の青年海外協力隊日記からのイギリス大学院留学

ガーナと日本を足して2で割るとちょうどいいのかもね。

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ガーナの同期隊員で、一人バイクで15分くらいのご近所さんがいます。

彼女は、感染症対策で、日本での職種は医師。

そのため、結構な頻度で、週末の買い物や飲み会で会うのですが、専門的な相談(愚痴?笑)もでき、かなり貴重な存在です。

そのなかで、二人でよく話題に上がるのが、ガーナの医者の人柄。

とかく、途上国全体がそうなのかはわからないですが、ガーナでは、医療者という人たちが、自分の職種的なプライドからか、やたら横柄さが

目立つ気がします。

彼女いわく、とにかく患者さんに対して怒鳴りつける勢いだそうな。分娩中に痛いというと怒られるから、怖くて痛いともいえないという話も聞いたことがあるそうです。(忙しい病院ということもあるかもしれませんが)

自分も、一度、首都で体調が悪くなった隊員に同行して病院に行ったことがあるのですが、まぁ、とにかく人の意見を聞かない。

昨晩から水を飲む気力もでなく全く飲めていないから(この時点で正午近く)、脱水を起こすとまずいから点滴をうってほしいと、こちらがオファーしても、「下痢とかないなら、自分で飲んでよ。薬の副作用のはずだからしばらくしたら飲めるでしょ?」

とのこと、そして謎わけのわからない栄養ドリンクを渡す。日本から持ってきてるポカリすら満足に飲む気力が出ていなかった状態だと言うのに。そして、その薬も昨日から飲んでなかったそうなのに。

まぁ、言わんとしていることもわかるし(日本はやたらめったら点滴打ちすぎなので)、結果ある意味では正しいのかもしれないけれど、それにしても少なくとも患者さんが、

めちゃくちゃしんどそうなら、少しそのあたりを配慮してあげてほしいと思ったり。ただでさえ、気候もまったく違う国で、下手をすると熱中症とかを引き起こす可能性もあるくらいもうすぐ12月でも昼はやはり暑いので。

愚痴にもなりますが、自分の職場の同僚、特に若手は、仕事に関していうとまぁ人の話を聞かない。こちらが英語(特にメディカルワード)

できないからなめてるのもあるのかもしれないけど、まず人の意見を最後まで聞かない、そして、向こうの結論にこちらが少しつっこんでそれはおかしいだろ的なことを言うと、

スルーする。

このあたりは、前職が院長にも関わらず、症例に関してはこっちの意見を聞いてくれて、バシバシいえていた環境からするとかなりストレス。

こうやって書いてみると、本当に数十年前の「お医者様」時代の日本やなぁ。と思います。

白い巨塔か!!!財前教授の総回診か!!!

と。

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じゃあ、今の日本の医療はすばらしいのか。

正直なところ、自分も動物病院という動物とはいえ一応病院(よりサービス色が強いけど)、そして、彼女も病院で働いていたという経験から必ずしもそれは胸をはってYesとはいえない気がします。

とかく、前回の記事でも書いた、金を払うほうがえらい。いわゆるお客「様」、この場合は患者「様」という空気が今、日本の医療者に対して、少なからず精神的負担を強いていることは間違いないと思います。

「医療はサービス」

もちろんだと思います。

常に相手の立場に立って、医療行為を行うことは、本当に医療の基本だと思う。

だから、ガーナの医療はやはりまだまだ、そのあたりのメンタル的なことが進んでないと思う。

しかし、それが過剰になりすぎると、

モンスターと昨今揶揄されるようなむちゃくちゃな患者が出現するようになるんじゃないだろうか。

もちろん、実際にそんな人は全体の数パーセントもいないと思います。自分の経験上も大概はいい人でした。

けど、経験上そんな100人がいい人でも、1人モンスターがいるだけで、すべてが吹っ飛ぶくらいの精神的疲労が出てきます。

そして、もっともよくないことは、そのような人がいることで、すべての患者さんに予防線をはってしまうようになってしまうことではないかと思います。

「もし、何かがあれば、この人もクレイマーやモンスターになるのだろうか」

そう思ってしまうと、結局本当に向き合える医療というのができない、表面だけの医療になってしまうんではないでしょうか。

患者さんののためを思って叱ったら、あそこの病院は先生が恐いから。と不評を流されるようになるんでしょうか。

ちなみに私事なんで、あんまり書きたくないけど、

自分の祖母は、自分が定期的に診せないといけないような白内障をほったらかしにして

久しぶりに行ったらすごく先生に怒られて怖かった。

というのを言っていて、それは自分が悪いんだろ!何を言ってるんじゃい!と僕が怒ってしまいました。

僕も、コンタクトは度数MAX。飛蚊症が出るくらい近視がひどいので、定期的にその病院に行くんですが、

(ちなみにJICAから何か言われるといやなので書いておきますが、2年間ガーナに行く旨は病院に伝えて、しっかり了承、応援してもらってからきています)

むしろめちゃくちゃいい先生です。そして、僕が3年目の時から飼いだした猫が勤めていた病院に来て、僕が診ていたこともあり、目の健診の時にもオレの目そっちのけ(?)で猫の話をしたりと

いい意味で、お互い信頼できていたのではないかなと思います。

猫、元気かなー。

「足して2で割るとちょうどいいのかもね」

これが2人の結論。

今の日本と、ガーナの医療者、患者の関係を2で割った状態、お互いに「様」がなくなった状態こそ、本当の医療者と患者さんの関係なのではないかな。と思います。

 

日本の医療費が過去最高を記録したそうです。

高度医療は結構。。。。だけど・・・・

遠藤周作は、自分の数年に渡る入院時代を振り返り、晩年は「心温かな病院」を作ろうと尽力なさったみたいです。

今の日本の医療は、果たして遠藤周作が望んだ、心温かな病院なんだろうか。

これから日本の医療はどうなっていくのだろう。