In Blue Skies

とある獣医の青年海外協力隊日記からのイギリス大学院留学

獣医師という職業といま その1

ここ数年日本にいなくなって、少し距離をおいてみることで

 

「あ〜自分は獣医師になってよかったなー」

 

と思うようになってきました。

 

 

動物のお医者さん (第1巻) (白泉社文庫)

動物のお医者さん (第1巻) (白泉社文庫)

 

 

 

獣医はキツい?

 

中学くらいから目標としていた獣医師になれたわけですが、

 

獣医師はいろいろな意味で基本的にはやっぱりキツいと思います。

 

難易度も今はちょっとわかりませんが、自分が大学を受けた当時は、センター試験だけなら、地方国立の医学部とほとんど変わらないくらいで(場所によっては高いくらい)、まぁ、場所を選べば医学部でも受かる・・・かな。くらいな感じでした。正直な感想。

 

まぁ、そんな感じで割りと苦労して入ったのはいいのですが、実際はやっぱり「憧れ」だけではやっては行けない。

 

平均所得もそんだけ苦労した割には、医者の半分らしい。 

 

半分!!!

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で、でも、カリキュラムは別に決して「半分」でもなく(そりゃそうだ)

「遊べる」ような感じではなかったです。

(今は少し変わったみたいですね。まぁ、でも緩くはなってないでしょう。)

今思い出してもゾッとする、解剖実習のひたすらスケッチとか笑 覚えることもやっぱり多いし。

 

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そんな感じなので在学中も

「いや、所詮、獣医なので」

というやさぐれた卑屈な感じと、

「でも、俺ら「獣医」だし」

という「ちっちゃいプライド」

 

とが、なんとなくみんな「ふわっ」とはあった気がします。(勘違いならすみません)笑

 

そして、極めつけはやっぱり

 

「医療」を学んでいるのに厳密には「医療従事者」といえるのか?

 

という微妙な立ち位置。

 

だってそもそも、免許の管轄

 

農林水産省

 

ですから。

 

なんとなくそういうので、

 

結果的に医学部に在学途中で移ったり、卒業後に再受験する人も中にはいることはいます。(これはいろいろ理由がありますが。。例えば院長の知り合いは元大動物獣医だったけど過疎化が深刻な村だったそうで高齢者医療に従事したいと一念発起して入り直したという。素晴らしすぎ。)

 

 

 

卒業しても苦難は続く。

 

自分は動物病院でしか日本では働いたことがないので、動物病院の経験しか語れませんが、やっぱり卒業してからが獣医師は本番。

 

でも、初めてだと本当に何もできません。

 

まず、採血ができない。

血管確保ができない。

 

できませ〜〜〜ん!!

 

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だらけです。

 

厳密にいうと、国家試験受かっているので基本的な知識はあるのかもしれないですが、

知識=その場の状況にスッとリンクしないんですよね。

 

あとから

 

ああ言えばよかった

 

みたいな。

 

一年目は本当にヒヤヒヤでやっていました。

特に途中から任された夜間は、

 

これ(針)を血管に入れれなかったら「死ぬ」

 

というガチなプレッシャーでしたね。

おかげで急速に上達したけど笑

 

獣医はビジネスだ

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どっかのドラマじゃないですけど。

 

よく「医療はサービス」って言う、お医者さんがいますが、

 

動物病院のほうが絶対サービス業だと思ってます。割りとマジで。

 

普及してきたとはいえ、まだまだ保険も十分じゃない動物業界。

 

ちょっとした下痢でも一万円くらいかかることも珍しくありません。

 

そして我が子同然と最近は言われてますが、やっぱり人間と動物の違いを考えると

 

保険の使える人医とは違って

 

100%

腕とか、

人望

 

とかがないとやってられない職業だと思います。

 

実際、やっぱり休まずに働いてた院長はすごいなーと思います。

 

でも、そうやって「ビジネス」と思いつつも「ビジネス」と割り切れない事なんてたかだか3年でも多々ありました。

 

自分が初めて診断してから慢性腎不全で家族総出でずっと通っててくれたネコさん家族のこと。

腫瘍で下顎切除を選択せず、とうとう食べれなくなったネコさんに安楽死を選択した飼い主さん。(自分が初めて施した安楽死でした。最後まで本当に気丈で、自分の中では本当に見習うべき「飼い主さん」だったと思います)

 

診察後に急変して亡くなった飼い主さんに「君が診察したからだろ!」と言われたこともあります。(これは未だに原因が定かじゃない分辛い。)

 

夜中の急患対応に変な電話かけてくる奴もいたし笑

 

モンスター飼い主みたいなのももちろんいたり

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みたいな笑

 

全部、常に葛藤し続けながらの3年弱だったと思います。

 

でも、辞めてから改めて思うのは

 

本当にいい経験だった

 

ということです。

 

過去形にしてしまうのが少し悲しいですが、

 

ドラクエ的に言うと、

 

自分である程度自分を診断できるようになった笑

処理速度が尋常じゃないくらい上がった(夜間一人とか全部自分でやらないと行けなかったから)。

思考が論理的になった。

なんとなくっていう「感覚」がリアルでついた(動物は喋れません・・・じゃないけど本当に5感の能力は上がったと思う)。

物事を全体的に見ることができるようになった(看護師さんたちの動きが今どうなってるかとかを見ながら自分のことをやる・・・みたいな)。

話術が上がった。

「死」についての考え方が変わった。

友達いなかったから本や映画を浴びるように読めた、観れた(笑) (いや、月曜日とかが休みだと・・・ね。遊んでくれる人いないんですよ。)

動物の扱いが上手くなった。

何故か子供の扱いも上手くなった気がする。というかなつかれるようになった笑

人のペット相談に乗れるようになった。

 

というような、知識、スキル等 得るものを得たのでジョブチェンジ・・・ということなのかもしれないですね。3年程度なんであくまで最低限ですが・・・

 

ドラクエ人生論というブログがあったので貼っつけておきます。)

 

愛の日記 @ Drivemode | ドラクエ人生論

 

で、これらの能力は結構協力隊以降も活かされていると思います。

 

さて、協力隊以降は・・・続く。