In Blue Skies

とある獣医の青年海外協力隊日記からのイギリス大学院留学

実習4週目 と 人と人との関係

実習も4週目に突入しました。

今週は特にこれ!!っていうこともなく、無難に過ぎ去って行きます。

頚静脈には入るときもあれば、牛さんが暴れて入らないこともありの。

あと直検もまぁまぁ、わかるようには順調になってきてます。

それから、今週に入って少しずつ、手術も入るようになってきてます。今週は四変の実際の手順を手術をしながら一つ一つ実際にしたりとかで、筋層や四胃の幽門部の位置なんかの把握をしていってるような感じです。

牛の容貌なんかで状態も少しずつですがわかってきてるかな??って感じ。

まぁ、小動物でもそうだったけど、こういうことは、ある日突然なんとなくコツがわかるもんなんで、焦らず、できる限り努力して行きたいと思います。

・・・・さて、でも四週目にもなると、色々疲れも出てきてます。

帰ってもすぐ疲れてなんか頭が働きません。

やっぱり一番は人間関係。

・・・といってもいじめられてるとかではないんですけど。

ただ、改めてしみじみと思うのは、自分は「お客さん」 ということ。

JICAからの出向とはいえ、自分にしてくれる色々なことは100%NOSAI、並びに酪農家さんの好意だということを痛いほど痛感します。

確かに獣医師免許は持ってるけど、ここで、勉強したことは、岡山に何も還元できない。そういう意味で結局前いた動物病院とは違って、働いている・・・という感覚が持てません。

そんな環境で、一日、先生の後ろを影のように付いて回る・・・それがむしろ、なまじ、小動物とはいえ、臨床業務で、結構バリバリ一人でやらせてもらっていた自分にとっては、自分のペースで何もできないので結構キツいのかもしれません。

ただ、そんな中で、逆説的ですが、先生方との話、酪農家さんとの話は、本当に聞くこと聞くことが、勉強になり、自分が何も知らないということがよくわかります。

なんというか、小動物臨床に比べて、やはり、生活に直結している分、「生活」に根ざしたおばあちゃんの知恵的な要素がふんだんに盛り込まれているような気がします。

それは確かに医学的にどうなの?とか、必要ないじゃん、って思うことかもしれないけど、意外と実生活では、そちらの方が大切だったりする。

そういうものかもしれません。酪農家さんのほうが、全然詳しいですし。

「なんか、治った、ハハハ」みたいなことも多い感じ。

あと、この間、家保の方と合同で繁殖健診を行っていた際に、作業しながら色々話を聞いていると、日常でどれくらい衛生検査等に尽力を注いでいるか、を改めて話の端々から伺うことができました。

ちなみにもうすぐ、丸一日かけての、口蹄疫発生時における緊急模擬訓練らしい。

ホントに頭が下がります。

口蹄疫が宮崎で発生した際にも、この獣医さんは出向していらっしゃったらしいですが、何十万頭もさっ処分するその壮絶さを語られたとき、

今、自分が行っている牧場、何十個以上を全て、いったいどれくらいの果てしない労力を使って行ったのだろう・・・と、同じ獣医師だったにも関わらず、あまりにも想像力が欠如していたこと。というよりも壮絶すぎて想像できなかったことを恥ずかしく思いました。

個人的には、いわゆる動物のお医者さんというみんながイメージする獣医師らしいこと、今後の日本ではじょじょにしにくくなっていくかもしれないと思っています。

でも、それ以外の人たち、そういう人たちが、こういう風に、働いていることをもっと、僕らは伝えていっても良いような気がしました。

そんな研修の中で、皆さんと話をしていくことで少しずつ、

「あ、これ、ガーナでできるかな」

と、そういう風に思えるような、出来事がじょじょに増えてきています。

特に、途上国で牛の診察でできることなんて、ホントに限られていることの方が多いと思うので、日常の些細な会話で、何か応用が聞きそうなことを、ヒントとして見つけ出して行く、

そういうことの方が、実はこの研修の真の目的なのかもなぁ・・・と感じ始めてきています。

今日も先生と話していて、「あ、これ、上手くすれば予防医学に使えそうかも」と

思う話を聞きました。

今度、その酪農家さんで、実際に他の酪農家さんを招いて研修をするみたいなんで、

途上国でも可能ならばぜひ応用してみたいと思っています。

ではでは。