ポーランド旅行記 その4
夜が明けて。
朝の五時半の列車に乗るために早々と目を覚まします。
駅までは徒歩で5分ほど。
自動券売機で切符を買います。
行き先はOświęcim オシフィエンチム
色々な方が書いていますが、アウシュビッツ行きというものはなくこのオシフィエンチムという地名こそが本来の地名だそうです。
券売機で切符を買います。
・・・がまさかの、曜日が逆!!!こういうところでちょこちょこやはりクオリティがでるのかもしれないですね・・・・
列車が来ました。(心のなかでは世界の車窓からが鳴り響いています。)
そして一路オシフィエンチムへ!!!!
のどかだなー
因みにローカルでも朝一の為ほとんど人も乗ってませんでした笑
後半は車両に自分一人でした・・・・
無人駅とも言えない。もはや看板とベンチしかないような駅も途中数カ所通過し。
所要時間およそ2時間。
オシフィエンチム駅に着きました!!
個人的には、この列車の旅だけでも、ツアーじゃなかった価値はあったかな。と。
やっぱり、旅はローカルなものを使ってなんぼだなーと思います。
おそらく何よりもローカルを使うことで自分が完全に異邦人になれる感覚が自分は好きなんだなーと。
さて、駅からは、バスか徒歩らしいのですが、たまたま自分は運良くバスが乗れたので、バスを使いました。
結果的に確かにほぼ一本道で迷うことはないと思いますが、季節は6月、8時前でもすでに暑かったので、この時期ならバスを使うほうが良いと思います。
いよいよ到着しました。
アウシュビッツ博物館です。
・・・・で、無事に入場できました!!!!
ということで、ネットでの情報がイマイチ不確かだったので、今回ここでキチンと時間等は記載しておこうかと。
開演時間は8時からなのですが、夏季期間は10時から15時まではツアーガイド抜きでは原則入場できない!となっています。
・・・でこれは看板を信用すれば、アウシュビッツ博物館のみで、ビルケナウ第二博物館は特に入場は問題ないです。おそらく、アウシュビッツは展示物が多く、個人で来られるとツアーに支障が出ることを考慮してかと。ビルケナウは一方かなり広大な土地で、特に展示物があるような場所ではなく、本当に「収容所」の名残という感じなので、そういう経緯があるのではと予想。(因みに2つの博物館は3kmほど離れているため10分おきくらいのシャトルバスを利用します)
8時からの入館の場合、チケット売り場でフリーチケットを購入すれば、中に入ることは可能です。(無料)
で、一応、結果論なんですが、おそらく一旦入ってしまえば、10時以降別にガイドがいなくてもいることは可能だと思われます・・・し、もっと言ってしまえばそこらじゅうでガイドしているので(言語は英語からフランス語、ドイツ語、イタリア語と様々ですが)、ツアーで貸し出されるマイク、イヤホンが必要なければ素知らぬ顔でひっついていく・・・・ことも可能でしょう。
ただ、やっぱりここはそういうことをしているくらいなら、キチンとツアー料金を払って参加するのがマナーなのではないかな・・・と思います。たかだか数百円だし・・・
で、心配していた当日券ですが、無事に買えました!!
上記写真のように、各時間に15名ほどずつ、当日券が各言語によって購入できます。
ただ、割りと朝早い時間のはすぐに売れてしまうため、当日券が欲しい方は早い段階で行かれることをおすすめします。因みに自分は8時5分前に着いたら、3番目位に購入できたので、開館10分前にでも着いておけば余裕でしょう。
で、個人的にクラクフ内でツアーを申し込まないほうがいい理由その2として、
ツアーは、原則おそらくアウシュビッツ2時間、ビルケナウ2時間くらいの段取りで行われます。
・・・・が!!!
実際には全然それじゃ全部を紹介してくれません。
結果論なんですが、自分は10時半の朝一の英語のツアーに参加し、それまでの時間で2時間ちょいほど先にアウシュビッツを下見していました。
この時に、10時まで、開館していなかったブースや、逆にツアーでは回ることができなかったところも隅々までみることができました。
おそらくガイドさんによって案内する場所が結構違う可能性が高いと思われます。
自分の場合は、コルベ神父といわれるこのアウシュビッツで亡くなられた遠藤周作がモデルにされている方が餓死刑に処されたという部屋を見てみたかったのですが、ツアーでは回りませんでした。そのため、もしツアーだけしか参加していなかったらここは見ることができなかったかもしれません。
逆に、ツアーではやはり細かいところをかなり喋ってくれるので、(確かに教科書等に書いてあることも多いのですが)やはり実物を見ながら詳細に聞けるというのは(アクセントもありところどころ聞き取れないこともありますが)非常に貴重な経験だと思います。(ガイドのおばちゃんは特にガス室についてかなり熱心に喋ってくれました)
夏場は下記のように結構混んでます。この他にもたくさんのツアーが同時並行で行われているので、場所によってはゆっくり見れないかもしれません。
ビルケナウ第二博物館
白い巨塔でも実際に使われたロケ地です。
さて、四時間程度のツアーが終わったあとは解散となり、各自自由に行動ができます。
大体3時前くらいになっているので、もし観足りないようならもう一度入館するのもひとつだと思います。本当に色々考えさせられる博物館ですので。
で、帰りはバスを使うのがおすすめです。(ツアーで送迎がなければ)
バス停がアウシュビッツ内にあり、
その場でチケットは購入でき(12ズオティくらいだったはず)
大体所要1時間15分位で順調に行けば市内。クラクフ中央駅まで行ってくれます。
個人で行かれた方はだいたいこれを利用されているような感じでした。
豆ポイントとしては、夏季は日中天気がよければカラッとはしていれど、かなり炎天下で、水が必須になってきます。こまめな水分補給を本当におすすめします。
アウシュビッツないでも観光地料金で少しお高いですが、それでも一本100円くらいで水は買えるので、どんどん飲んでください。
・・・で全体的な感想。
アウシュビッツ・ビルケナウともに
広大な敷地であり、茶色のレンガ建ての収容所。炎天下で草が青々としげり、すぐ裏では麦が青々と実り、鳥が囀っている。
そういうところで、パット見ているととてもそんなひどいことが行われた場所のようには見えなかったというのが本音です。
ここで、暮らしていた人たちは何を思い暮らしていたのだろう。
ずっとそんなことを考えていました。
死の壁と言われた、多くの囚人が銃殺されたという壁。
そこに立ったとき。燕がたくさん飛んでいました。
死の間際、みんなは何を思っていたのだろう。
空の青さに胸を震わせていたのだろうか。
無念だったのだろうか・・・
結局ここでも、わかったことは、何もわからないということだけなのかもしれないですね。人生というのは結局本当にそのようなものの積み重ねなのかな・・・と。
最期に、遠藤周作がアウシュビッツ・ユダヤ人の虐殺が一つの極地だとした、「善魔」という思想の一節を紹介してアウシュビッツの紹介を終了したいと思います。自分たちの中にも静かに潜むだろう善魔。そんな存在がいることを常に忘れず、できることを精一杯、葛藤しながら続けたいと思う。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
感情に突きうごかされて行った愛なり善なりは(正確にいうと自分では愛であり善いことだと思っている行為が)、相手にどういう影響を与えているか考えないことが多い。
ひょっとするとこちらの善や愛が相手には非常な重荷になっている場合だって多いのである。向こうにとっては有難迷惑な時だって多いのである。それなのに、当人はそれに気づかず、自分の愛や善の感情におぼれ、眼くらんで自己満足をしているのだ。
原因は二つある。ひとつは相手の心情に細かい思いをいたさなかったこと、もうひとつは自己満足のあまりに行き過ぎてしまったことである。
いかに正しいこともそれを限界をこえて絶対化すると悪になる。また逆に悪に見えることも限界内では善い部分がある。民主主義は正しい考えかもしれぬ。しかし、それを絶対化しすぎると民主主義ならざる国に原子爆弾を落とすような悪をうむ。
自 分がいつも正しい、正義漢だと思っている人というのも、知らず識らずに傲慢という罪を犯していると思います。なぜかというと、自分が正しいという気持ち は、かならず他人を裁こうとします。人を裁こうとする気持ちというのは、自分が裁く相手の心の悲しみとか寂しさとかいうことが、よく分かっていないことな のです。
一人よがりの正義漢や独善主義のもつこの暗さと不幸は今日、私たちの周りで、さまざまな形で見つけられる。
こうした善魔の特徴は二つある。ひとつは自分以外の世界をみとめないことである。自分以外の人間の悲しみや辛さが分からないことである。
もうひとつの特徴は他人を裁くことである。この心理の不潔さは自分にもまた弱さやあやまちがあることに一向に気づかぬ点であろう。自分以外の世界をみとめぬこと、自分の主義にあわぬ者を軽蔑し、裁くというのが現代の善魔たちなのだ。
---------------------------------------------------------------------------------------