In Blue Skies

とある獣医の青年海外協力隊日記からのイギリス大学院留学

ガーナで味わう差別や偏見について。

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ガーナに来てから、嫌でも一番考えさせられることの一つが、

 

差別や偏見。

 

そしてアイデンテティとはなにか

 

ということ。

 


ここにいると、学生時代に旅行で行っていた東南アジア等では経験したことのない差別や偏見を経験します。(少なくとも旅行レベルでは感じなかった)

 

一番一般的かつ露骨なのが、

ヘイ、チャイナ!!

とか

チンチョン(中国人を蔑視する言い方?少なくとも、ヘラヘラ笑っていうからバカにしているのは間違いない)

 

自分の任地でも、

冗談半分にでも子供に

 

スイミンガ(白人のこと)バイトーフィー(お菓子買って)

 

とかなりの回数を言われます。(下手すりゃ1日何十回も大合唱で。)

そして、意味もわからず言っている子供に対しても周りの親が何も注意しない。

悪いと思っていないのかな。と思います。

 

まぁ、こういうことされるから、そんなことをいうようなガーナ人はほんとに

 

「馬鹿だ」

 

としか思えなくなるんですが笑 (そういうこという人やその他傲慢な人(うちの所長とか笑)にのみですが。念のため)

そんな感じで彼らが言う白人そしてアジア人として、ガーナでは嫌でも偏見を持って接することが増え、自分のアイデンテティについて考えることになりました。

 

自分はやっぱり日本人なんだな。

 

と。

 

それは、きっと旅行とかアジアでは経験できなくて、二年間このアフリカという地に居続けたことで育まれてきたアイデンテティなんだと思っています。


そんな中、先日ピースコーボランティアと話していてとても興味深い・・・と言うと失礼なんですが、話を聞きました。


彼らはアメリカ人で構成されているボランティアなので、もちろんアフリカ系アメリカ人もその中にはいます。自分のピースコーの知り合いにもいます。


彼らを見るたびに、「もともとこのアフリカにいた人種の人達が、ガーナでいわゆる同じ黒人の人に混じって働くってどういう気持なんだろう。自分達が東南アジアとかに行ってそんなに少なくとも人種の壁や違和感を感じないくらいの感じなのかな。」


と、今思えば、これもある種の偏見なんでしょうが、思っていました。


そんな中、聞いた話。


彼らにもボランティア総会みたいなものがあり、その中で、「多様性」と「差別」についてグループディスカッションをしたそうです。

 

その中で、アフリカ系アメリカンのボランティアが語ったこと。

 

「私は、自分がアメリカにいた時、自分はアフリカ系アメリカ人だとずっと思って、そしてそれをアイデンテティにしてきた。けれど、こちらに来て、ガーナ人と接すると、ガーナ人は私のことを白人という。私が『どーして?私は肌の色も同じだし、私の先祖は、アフリカから来たのよ。』

と言っても、お前は違う。だってお前はオブロニ(白人)の文化で育ったから。と言って否定される。それが私には私が今までずっと支えにしてきた自分のアイデンテティを否定されているように
感じてとてもストレスに感じたり、自分が何者なのか・・・ということがわからなくなるのよ」

 

そう言ったそうです。


そしてこうも思ってしまうと。

 

「私達の先祖は、いわば奴隷として同じ人種の人達、アシャンティやダマンゴの人たちに西欧の国へ売られた人たち。そして、アメリカで奴隷として扱われて、必死で生きてきた。
そして彼ら(ガーナ人)の先祖は、売った側。どうして、未だにそうやって私達を差別するんだろう。私達のルーツは同じアフリカなのに。」

 

と。

 

話していたピースコーのボランティアいわく、アメリカでは、実際やっぱり黒人の人の待遇が今でも完全に対等であるとは言えないと。

極端な話、白人の人と結婚して、子供が白人の見た目だった時。その子供を連れて歩いているだけで、誘拐したと思われて警察に呼び止められることもある・・・・と(まぁ州によって程度もあるでしょうが


そうやって、アメリカでもなんとなく拭い切れないネガティブな環境にいて、それでも自分たちはアフリカ系アメリカンだとアイデンテティを持ってきてた人たちがそれを否定されるというのはどんなにショックなことなんだろう

ただただ、すごく考えさせられました。

 

酒の席だったのに・・・笑

 

確かに、冷静に考えると予想できることでも、実際に話として聞いてしまうと、やっぱり衝撃を受けてしまうことってありますよね。


そんなこと知っていた?


言われなくてもわかっていた?

 

・・・・自分はどうなんだろう?


そうやって自分のことを振り返ってみると、


やっぱり、頭でしかわかっていなかったことが本当に多かったなぁ。と。


アフリカに来たことで、本当にいろんな人種の人と出会えて、差別されて考えて・・・そして結果として無意識の偏見は減ったような気がします。

特に黒人の人に対して。

 

むしろ白人の人のほうが今では緊張する対象であったりして笑

協力隊としてくるということは、嫌でもそういった日常的な偏見に直面せざるをえない。

 

そこから、何を考え、どう自分にフィードバックしていくか。

 

それが、ひとつの協力隊中のある種の裏課題なんじゃないかなーと。 あ、裏でもないか。異文化理解とかやってたし笑


でも、絶対これは先程も書いたけれど、机上では学べない。頭でわかってても、自分がその環境に置かれない限り身につかない。


まさにやって理解出来たことだと思います。


この感覚。


初めて一人旅をしてなんとなく

世界がぱぁーーーっと広くなった

そんな、あの頃の感覚に似ているなぁと思います。


日本に帰っても、この気持を持ち続けたい。

そして、もっともっとこういう

 

ぱぁーーーっと広がるような感覚(それはきっと齢を重ねるにつれ、少しずつ受ける衝撃としては減っていくのかもしれないけれど・・・)

 

それを大切にしていきたいと思います。

 

 

 

サードカルチャーキッズ 多文化の間で生きる子どもたち (クロスカルチャーライブラリー)

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