In Blue Skies

とある獣医の青年海外協力隊日記からのイギリス大学院留学

途上国で隊員として2年間暮らすと言うこと。

 

言うまでもなく、青年海外協力隊として来た場合、いわゆる「発展途上国」で2年間暮らすことになる。

 

ただし、一口に途上国と言っても、ある程度の発展を遂げつつある2ndカントリーと呼ばれる国に派遣されることもあれば、紛争等が無く、(その国・エリアの中では)ある程度余裕のある生活はできるだろう。というような国に派遣されることも多い。

さらにその国の中で、首都や都市圏に近い任地に派遣される隊員と、いわゆる「村」レベルに派遣されている隊員とでも生活レベルに格差は生じる。

「村」レベルで生活する自分としては、個人的には、都市部の方々の生活を見ると、

 

「ああ、いいなぁ・・・」

 

と思うし、それですら「停電が~」とか「間取りがー」とかぶつぶつ文句を言ったりしていると、

 

「なんだこいつ?」って思う事も少なくない。

 

そして、

 

「ふんだ!村レベルで交流してこそ協力隊だもんね」

とか、わけのわからない田舎自慢で自分を納得させて終わる。

 

しかし、最近あまり自分では意識していなかったけど1年半の生活を通じて改めて、

 

「途上国で生活するって大変だなぁ」

としみじみ思う。

 

隊員の派遣される国は、極寒から、灼熱の国まで千差万別。(ちなみに自分は灼熱側)お世辞にも、整っているとは言いがたい設備。(すぐ壊れるトイレやシャワー、そして砂埃で汚れる家。)


クーラーなんて、もちろんなく、熱を吸い込んだトタンと分厚いコンクリートでムンムンの家でファンのみ。

 

地域によって頻発する停電、断水。特に、井戸等が無いエリアでの長期間の断水は本当に精神的に辛い。

 

あるようでないキッチン。(我が家はないに等しい)

そのため、自炊をする気力も無くなる。必然的にガーナフードになる。結果、健康に影響が出やすくなる。(まぁここらへんは自分のせいもあるけど)


人間関係・職場環境も正直に言って本当に「運」である。

たとえば、いまさら隠すこともないが、自分は任地の研究所に対しては下記のような経緯でもはや何も期待していない。

・そもそもの仕事量が絶対的に少ない。そのため、中学生でもできるような検査のみ。それすらナショナルスチューデントという研修生が偉そうに教えるため、関与できない。(ガーナ英語は彼らのほうが上手いので)

 

・また、すごく重要なことだからと、たとえ説明しても、知ったかをしていて、実は知っていないと言うことが多すぎる。そのため、どんなに噛み砕いて説明しても、そもそもその基本的概念・知識がないから理解できていない。

→結果、なんとなくギクシャクする。

 

・所長自体が、まったく何も関与してこない。こちらが何回提案しても「言語の壁」がなんたらかんたらといって、断る。(この時点で、自分はあきらめた。)

ので、オフィシャルの仕事は、ほとんどもうあきらめているのが現状で、自分で必要そうな仕事を探すことに焦点を当てている。(それについては後日)

だから、学校隊員・その他の言い方が悪いが「ある程度やることが決まっている」隊員は正直羨ましい。

 

ただ、そのような隊員の話を聞いても、それが必ずしもいいとはいえないのが現状のようだ。

 

・真面目に働く日本人はマンパワーとして、こき使われる現状。
・不真面目すぎる生徒(職員)と、それに対して何も指導しないガーナ人。

 

などなど。

後者は、確かにガーナ人の中に少なからずそのような人は存在する。

何も根拠のない自信と、それだけならいいけれど、それを鼻にかけて相手を見下す人たち(特に英語ができないということを逆手にとっている気がするのが個人的感想)こちらの意見をとにかく喋って煙にまく。

経験や、聞くところによるとガーナでは、「叱る」という文化があまり無いそうだ。
必然、悪い意味でプライドも高くなり、否定されるとすぐに機嫌を損ねる。ということが起こりうる。

日常生活では、それは、必ずしも悪いことばかりではないが、というか、ガーナ人に基本助けられていることが多いが。

はっきり言って、仕事の面では、よろしくない。何より、「なんで援助慣れしてるこの人たちに援助しなきゃいけないんだろう」
と思えてきてしまう。


さて、そのような生活を1年半続けていると、必然的に色々なことが(おそらく)自分を含め周囲に起きてくる。典型的なのが

体調の不良。
精神面での疲れ。

である。

卵が先か、鶏が先か・・・ではないけれど、正直言って、上記の理由で任期を短縮する隊員もいる。

ただ、それは、本当に隊員の

 

「誰にでも起こりうること」

 

であり、

 

自分の体・精神の不調にいかに耳を傾け、そして、見切る決断ができるか。

が、途上国生活ではとても重要だと気づいた。

 

弱い。

 

とか、

 

なんでもっと頑張れないの?

 

とか言うような人は、

 

はっきり言って、

 

自分がそこに滞在できているのは、大なり小なりあれど結果として「運」が良かっただけで、ほんの少し「運」が悪ければ誰にでも起こりうるということを想像できていない

 

可愛そうな人なんだろう。

 

つい先日、隊員の一人が任期短縮を決断した隊員がいた。

NTCの頃から、趣味や考え方が近く、帰国したらまたゆっくり話したい隊員だった。

帰国理由は、体調不良。

当たり前だが、任期短縮は多くの隊員にとって無念なことだろう。。

だからこそ、

自分の体に対して真摯に問いかけ、そして決断したその隊自員には、本当に敬意をおぼえる。

偶然このブログを読んでくれている

これから協力隊を受ける人、今している人が、この記事を読んで、

無事に2年間、途上国ですごすということ。

その意味について、自分なりの答えを出してもらう手助けになれば幸いだ。

 

阿弥陀堂だより (文春文庫)

阿弥陀堂だより (文春文庫)