In Blue Skies

とある獣医の青年海外協力隊日記からのイギリス大学院留学

ガーナのと畜場に行ってみた感想。 主にいち獣医師の視点より

ガーナの(というか途上国の)と畜場に行ってみたい!

という思いを漠然と持ってました。

そんな矢先、研究所のNational Student の同僚が一人、クマシにあると畜場に勤めだしたということもあり、
これ幸いとばかりに行ってみました。あんまり日本人は興味がわかないかもしれないが、以下にレポート。

一日250頭

言った先はKumashi abottoir meat company. ロケーションは、もちろんクマシ。
中心街から、lakeロードに沿って、15分くらいだった。
最初はトロで行こうとしたけど、探すのに手間取る、見つけても人がいなかったと言うことであきらめてタクシー乗る。10セディ。
まぁまぁ妥当。値切らずこの価格だったので、まぁまぁ良心的な人だったんだろう。

カンパニーということで、加工場自体は私営、但し、検査員として入る獣医関係者は官からだそうです。

一日牛250頭、羊、豚も同程度ということなので、かなりの(まぁ敷地的にも)大規模工場。


設備は・・・・うーん・・・・

一見すると、一通りのものは揃っている。
(牛を吊るし、移動できるクレーン、そのまま真っ二つにするカッターなど)

一応、言うと、獣医関係者(こう書くのは、獣医師、研修生、テクニシャンがいるから)はその中で、寄生虫や各臓器の異常を検査している。
この辺りは日本と同じ(BSE検査などはもちろんないけど)

但し、作業員は、Tシャツのまま、ヘルメットもかぶる人かぶらない人(これはかなり危ない)下は血まみれと正直衛生環境はよろしくないです。
極めつけは、牛のとさつ。日本だと四方を囲まれた部屋に入れられまず上から頭部にスタンガンを打ち込み、一瞬で気絶させる。
その後、頚動脈を切り血を抜き殺す、という手順です。

しかしながら、ここは、足を縛って、そのまま首をかききる・・・・

日本の愛護団体がみたら(まぁ、一般の人でもか)「ひぃ~~~!!」とか、「動物の権利があの胃fjくぇp!!!!」みたいなかんじである。
でも、その現場責任者のDr曰く「スタンガン・・・壊れちゃっているんだよ。僕は日本に研修に行ってたけど、日本の設備は本当にすごい。ここは本当にひどい。見せるのが申し訳ない」
と、とても親日的かつ、申し訳なさそうだった。

つまり、ガーナあるある。わかってるけど、金銭的にどうしようもないという現実。

Thats Ghana。 

ということで、愛護団体の方。日本で重箱の隅つつくのに多額のお金を使うくらいなら、こういうところにその資金の一部提供してあげてください。
そのほうが、より確実に多くの動物のQOLを高められます。


総評 オトナの社会科見学としていってみる価値はあり。

ガーナに来てからよりいっそう強く思うようになったけれど、日本はもう少し自分達の食べるものがどのようにできているかくらい知るべき。

特に、「肉大好き」と言っている人は。

話はそれますが、ガーナ北部はイスラム教が多く、毎年犠牲祭の際には自分たちで家畜を殺し、肉にします。

その際に個人的に感動なのは、子供達もみんな進んで手伝うということです。

そして、親や親戚のおっちゃんはその前ですごく上手に肉に解体していきます。


食べる。


という動物の根源的な行為を介して、親と子のコミュニケーションが行われ、そして、その技術が伝えられていく。

この姿を見ていると、正直とても羨ましいです。

日本だと、せいぜいがキャンプで魚を捌く。ということくらいしかちょっと町に住んでしまえばできなくなるだろう。

それを見せることが、日本社会にとってどのように作用するかは自分もわからないです。

でも、

少なくとも

「いただきます」

という意味を心底理解できていないまま、そして、オトナが子供に理解させないまま

命をいただいているのは、

欺瞞でしかない

というのが個人的な意見です。