見えないものを触ること。
意味深なタイトルですが、何のことはない。直検の話です。
今日は、午前中に、昨日手術をした第四胃変位の牛の経過を観察・治療した後は、
・・・・ひたすら午前も、午後も直腸検査。
いったいどんだけ女の子のおケツに手を突っ込んだんだろう・・・
というくらいずっと手を突っ込んでました。おかげで外はクソ寒いのに、突っ込んでる左手だけほかほかでした。
少し専門的な話になりますが、最近、ようやく、直腸検査で大分生殖器の構造がわかってきたような気がします。
直腸から侵入して、子宮頚管、子宮体部と続き、左右の子宮角からの〜〜〜〜〜卵巣!!という一連の流れができました。ちなみに図で説明。右側からおそらく陰門、膣腔、子宮頚管、子宮体部、左右の子宮角、卵巣・・・と続いてます。
で、卵巣をコリコリ触って・・・
「ムム。少し波動感があるな・・・卵胞??」。「突起があるし、固いから黄体だね。」
とかくらいはわかるようになりました。
実際は直腸壁越しですが、実際に触ってるのはこんな感じの。
水が入ってそうな所が卵胞。この中に卵子が入ってて、これが破れることで卵子が排卵されます。
正直、黄体か卵胞か卵巣だけ触ってると、ものすごく微妙なものは多々あります。
「卵巣だけを見るんやない!!子宮や、子宮も含めた全体をみるんや!!」
という先生のお言葉通り、発情周期の日数を確認したり、あと、発情が来ると、子宮がギュッとしまってたり、というのも判断材料になります。
ちなみに今日は、子宮蓄膿症、いわゆるパイオの子宮を触りました。
最後に、先生から。
「大分、触れてわかるようになってきたね。」
というお言葉。
少しずつですが上達してるのが、自分でもわかってきたので、これは嬉しかったです。
超音波使えばそりゃ簡単なんですが、向こうで直腸検査することになっても使えるかわからないというか、無いと思うので。
勤めていた動物病院の院長にも一番最初に言われてたこと、
「確かに、いい機械を使ったら、わかることも多いけど、じゃあ、実際全ての症例にそういう機械を使う必要があるかどうか、というと、そうじゃないよね。
逆に、いい機械に頼りすぎると、なんでもない症例でも、結局全て機械で検査するっていうことになってしまう。
それは、果たして、医療者としてどうかと、オレは思ってるし、やっぱり、五感を使った診察っていうベースがあって初めて活きるモノだから、将来二次診療をやりたくても、まず、基本の触診、聴診、問診、視診、そして、自分のアレ?っていうイヤな感覚を徹底的に磨いてください。」
何かの本で読んだけど、自動車の技術が進歩することで、いったい何が変わるのか。
というものがありました。 燃費?加速性能?耐久性?
もちろんそれもありますが、
正解は、
全ての人の運転技術を、すべからく平均以上に押し上げること。
MTというものからATへ、タイヤのロックを防ぐ為に、ABSが付き、力のない人の為にパワステがつき、アクセルワークが苦手な人の為に、今ではアクセルさえも電子制御されている。そして地図の読めない人のためにカーナビができた。今では、アイサイトというものまである。
これらの運転能力は、本来使われなければ磨かれない。じゃあ、今いい機械があれば必要ないのか、
院長の言っていたように自分もそうではないと思う。
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ナビゲーションとは「案内される」こと
案内されればその時は助かる
でも必ず失うモノがある
失うモノは、自分で道を探す能力
できるなら、位置確認も野生動物のように
自分で確認する それがベスト・・
位置がわかれば
そこからの道は自分で選ぶ
人生にも案内役はつかない
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結局、自分も、最終的には、イヤだな・・・と思う感覚、経験が最終的には、何も無い状況で一番大切だと思って毎日やっているし、小動物もやってきた。
この力をもっと高めていきたい。