In Blue Skies

とある獣医の青年海外協力隊日記からのイギリス大学院留学

研修も3週目 その2

さすがに毎日結構色々なことがあるので1回では書ききれない・・・ということで、続編。

今日は、朝から、山の上にある、県の育成牧場での放牧衛生。

ということで、今日はNOSAIの先生だけでなく県の家畜保健衛生所の獣医師さんも多数やってきて、

子牛にワクチンを打ったり、成長具合をみたり、糞便検査をしたりという一連の検査などをして行きます。

あまり知られていませんが、獣医師は公務員としてだいたい半分くらいが働いています。

このような家畜保健衛生所や、と畜場、はては検疫所など様々な場所で日夜、国の衛生の為に働いてくれています。

獣医というと、多くの人は、動物病院や、牛の獣医なんかをイメージしがちですが、こうやって縁の下の力持ち的な形でたくさん働いていることも知ってもらえると同じ獣医師として嬉しい限りです。

ところで、ここで、久しぶりに一学年下の後輩と再会。いや、ほんと獣医の世界は狭いっす。

・・・・で昼は一旦別れて、手術する牧場へ。

僕が来た当初に第四胃食滞で手術をした牛が結局経過が悪く、今度は第一胃がガスでパンパンに膨らみ、抜いても抜いても収まらないので、異物等を疑い、試験的に開腹することになりました。

ちなみに、おさらいですが、牛の胃は4つに別れていて、第一胃が一番大きく、発酵などを行う場です。

で、実際に開腹し、触診をしてみると、第一胃の外側に何か固いものがある感じ、僕も触らせてもらいましたが、確かになにかある。 脂肪腫ではないかということ。

続いて、第一胃を切開して中を見ます。

僕も一緒に参加させてもらっていたので、写真がないんですが、

まず第一胃の柔毛のようなヒダが機能してなく、ものすごく小さくなっているのがあり、

さらに先生が手を奥に突っ込んでいくと・・・・・・

Exif_JPEG_PICTURE

第二胃にこんなのがありました。 毛球?・・・・・らしいです。

とりあえず出すもの出して、これで終了。 良くなってくれれば良いけど・・・・

ちなみにこの日は、初めて縫合やらせてもらいました^^

が・・・・持針器、使いにくい、縫合しにくい・・・・皮膚かったい!!!!

結局先生に途中からやってもらいました・・・・

どんどんやらせてもらって練習しよう・・・

・・・・でこれが終わったらすぐに家畜保健衛生所へ。

この日は、昨日見た水頭症の牛の剖検です。

・・・・・ということで剖検を見学です。

グロいので詳細は省きますが、

Exif_JPEG_PICTUREこんな感じで採材し、細菌などの感染がないかを培地などで検査。

と、ホルマリン漬けにして、病理検査を行うそうです。(今回は時間の都合上そこまでは見学できなかった。)

肝心の頭部ですが、見事に大脳の後ろ半分がペラッペラ・・・・これで生きてるのもすごいな・・・って感じでした。

ただ、先生がた曰くもしかしたらアカバネじゃなく、先天性の奇形かも・・・ということでした。

これで、今日は時間切れ。

ホントは放牧衛生の検査も見たかったんですが、時間の都合上来月にもう一度ある次回へ持ち越しです。

この日は特に盛りだくさんでした。

でも、色々見ることができて毎日が本当に驚きと勉強の連続です。

そして、酪農関係にこんなに獣医師が関わっていること、その人たちから話される知識の一つ一つが面白く、新鮮でした。

教室で教わることは

好きも嫌いもなくひとつ残らず、しっかりと

頭の中に吸収しておいたほうがいいぜ。

君はただの吸い取り紙になるんだ。

なにを残してなにを捨てるかは、

あとになってきめればいいんだからさ。

そんな村上春樹の「海辺のカフカ」の言葉を噛み締めながら勉強する毎日です。