善魔と国際協力
内容としては正直、事実の羅列ばかりで、めっちゃ面白い本。といえるものではなかったですが、
この中で紹介される過激派と呼ばれる人たち・集団に関してはとても考えさせられるものがありました。
推測でしかこんなことはわかりっこないですが、
おそらくですが、この人たちは(の中で純粋に活動している人は)、自分たちがやっていることが、必ず周りを、国を、社会をよりよい方向に結果として導いていく。
・・・・・と、殺戮や略奪、強姦などを楽しみでやってるような人、もしくは、少年兵のように物心つく前から生きるため、ムカつくやつは殺せばいいくらいの感覚しか持てなくなっている状態
ではない限りそう思っているんだと思います。
(そういえば、この映画は元少年兵を使っていて非常に興味深かったです
あくまでも一面かもしれないけど、でも、実際にこういうのもあるんだろうなぁ。)
ただ、結果として、それが他者からみると非人道的だと言われ、マイノリティーとなっているにすぎないのかもしれません。
この本を読んでいる間に、久しぶりに僕は、「善魔」という言葉を思い出しました。
「善魔」という言葉は、遠藤周作さんの著書でたびたび出てきている言葉なんですが、ちょっと長いけど 抜粋。
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感情に突きうごかされて行った愛なり善なりは(正確にいうと自分では愛であり善いことだと思っている行為が)、相手にどういう影響を与えているか考えないことが多い。
ひょっとするとこちらの善や愛が相手には非常な重荷になっている場合だって多いのである。向こうにとっては有難迷惑な時だって多いのである。それなのに、当人はそれに気づかず、自分の愛や善の感情におぼれ、眼くらんで自己満足をしているのだ。
原因は二つある。ひとつは相手の心情に細かい思いをいたさなかったこと、もうひとつは自己満足のあまりに行き過ぎてしまったことである。
いかに正しいこともそれを限界をこえて絶対化すると悪になる。また逆に悪に見えることも限界内では善い部分がある。民主主義は正しい考えかもしれぬ。しかし、それを絶対化しすぎると民主主義ならざる国に原子爆弾を落とすような悪をうむ。
自 分がいつも正しい、正義漢だと思っている人というのも、知らず識らずに傲慢という罪を犯していると思います。なぜかというと、自分が正しいという気持ち は、かならず他人を裁こうとします。人を裁こうとする気持ちというのは、自分が裁く相手の心の悲しみとか寂しさとかいうことが、よく分かっていないことな のです。
一人よがりの正義漢や独善主義のもつこの暗さと不幸は今日、私たちの周りで、さまざまな形で見つけられる。
こうした善魔の特徴は二つある。ひとつは自分以外の世界をみとめないことである。自分以外の人間の悲しみや辛さが分からないことである。
もうひとつの特徴は他人を裁くことである。この心理の不潔さは自分にもまた弱さやあやまちがあることに一向に気づかぬ点であろう。自分以外の世界をみとめぬこと、自分の主義にあわぬ者を軽蔑し、裁くというのが現代の善魔たちなのだ。
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以前にもこの内容で少し書いたことがあるんですが、自分が、今国際協力という、とても、少なくとも言葉だけを見るととても立派(そう)なことをやるうえでもう一度再考・胸にとどめておかなければいけないテーマだとおもっています。
今回青年海外協力隊を志望して、そして半年後くらいには会うだろうみんなは、いろんな志望動機があるんだろうと思います
。
その中で、自分のスタンスは、そもそも、おそらく国際協力をしたい!!という気持ちが一番強いわけではないと思います。
ど ちらかというと、いろんな文化、価値観に触れてみたい。その中で獣医として自分の培ってきた知識・経験をつかってみたい。という気持ちがまずあって、 結 果それがその地域の人に役立ってもらえればいい。という感じで、国際協力はあくまで結果としてのおまけみたいなものだと思っています。
(まぁ青年海外協力隊自体の主旨もそんな感じですけど。)
ただ、その活動の中で、自分がよかれと思ってやっていることが必ずしも現地の状態に当てはめると正しいかどうかはわからないままやらないといけないんだと思います。
そのような活動で生じる少しのやましさ、ホントにこれはしていいんだろうか。という気持ちはいつも持っていたいと思います。かつ、やるとなったらできるかぎり覚悟を決めてガムシャラにやる!
そのために、今はできる限り本を読んで、あと、英語もしっかりやるしかないのかも。
ちなみに上記の遠藤周作さんのエッセイはここにも書かれていますが、
これ以外も、動物病院で働いたりしたことで、「ああ、なるほどな」
と思えることがたくさんありました。
そういう意味では、学生時代だけじゃわからないことが少しわかったかなと思います。